創作(散文)

Atuiromok

 おやすみ おやすみ

 ここは静かな森の中

 わたしはおまえを抱きしめて

 月の光をともしびに

 夜語の声をつむぎましょう

 しずかに しずかに眠りなさい

Dsc00204

| | コメント (0) | トラックバック (0)

すり抜ける

 物語は動いている間は

 一つの有機体

 まるで終幕などないかのよう

 ひとつ、手に入れたと思って

 それを観察してみたり

 調べてみるけど

 

 それはまるで

 形のないもののよう

 

 どこを目指してるか分からない 壊れた羅針盤 消えかけの灯火

 

 手にしていたはずのそれは

 あっさりと

 どこかへ

 でも

 フレームだけは残っているから

 その中を満たしておきたいの

 汲めども尽きぬ

 底のない器

 いつまで続くか知れなくても 

 きっとその手は

 汲むことを止めない

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

気になる・・・が

 見てはいけない

 見たら負ける ほぼ確実に

 できれば 気にもしないほうがいい

 でもリザルトは知らなければならない

 望むと望まざるに関わらず

 いずれにせよ結果は出る

 無駄な抵抗はやめて

 今日はもう眠ろう

| | コメント (0) | トラックバック (0)

タイムリミットに、泣く

 もう少し待ってもらえると思ったんだ

 でも、もう待たせてくれないんだね

 遠慮ない言葉、とか

 さりげないやさしさ、とか

 感じ損ねていたものが今更になって目の前に現れて

 でも、手の中をするするとすり抜けてく

 頭では当然分かってるよ

 子供じゃないんだから

 いつまで、いついつまで、ずーっとずっと

 そんなことは不可能だって、分かってるさ

 だから

 泣いていいですか?

 

 

| | コメント (1) | トラックバック (0)

陽炎の瞳

 唐紅(からくれなゐ)に染まる空

 その下をあてどなく彷徨う客分

 縹(はなだ)の海底(うなぞこ)に沈むものたちよ

 闇より伸びたる手を

 招くその手をどうか掴まぬよう

 今宵中空に浮かびし下弦の御月(うてぃき)の下にて

 我が君は誰(たが)ために極彩色の夢(いめ)を紡ぎ給うか

| | コメント (0) | トラックバック (0)

12月 街中 21時

通り過ぎる人波 浮き足立つ気持ちも波立つ

 シャッターの閉じた雑貨屋の前で その波を眺める

 言葉なんて聞こえない

 ひとつひとつの声が重なり、ほどけてく

 ひとり ざわめきの海に立って、それを眺める

 うるさいな、と

 ヘッドフォンに手をかけて、止める

 しばらくその波音を聴いていよう

 あたしはその中から

 キミの声を探し出すんだ

 頼りにしているスパイセットを

 祈るように握り締めながら

| | コメント (0) | トラックバック (0)

賢者の視点

 針のない時計が満ちてくる時を刻み

 天空に浮かぶ船が安息を連れて 迎えにやってきた

 通り過ぎる人々

 つないだ手をほどかれて あなたは船に乗った

 見送る、自分

 後ろ髪を引かれながらも時は確実に移ろっていく

 ほら

 また新しい灯がやってくる

 私は見守ろう キミの側で

 世界がどんなに闇の翼を広げても

 「小さな光が闇を撃ち落すことがある」ことを知っているから

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

Opening~零と透明の世界~

 始原の日 その姿はあった

 天と地が分かたれ 世界が形作られていくその様子を

 何処を見つめるでもなく 彼らは眺めていた

 そこには

 耳の奥が痛くなるほどの静寂と

 瞳を射抜くほどの眩しい光があった

 長い永い時が流れ 

 やがてヒトが姿を現した

 「そろそろ私は行く事にするよ 始まりの終わりが・・・来たから」

 そう言って ひとり 立ち上がった

 翼ある友人と共に

 その背中に ひとり 声を掛けた

 「僕は後から行く事にするよ 終わりの始まりが・・・来る頃にね」

 言葉を受け止めて 姿を光の向こうに消した

 果たして 彼らが相見えることがあるだろうか

 悪趣味ぎりぎりの尖った色彩の世界で

 

 

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ノー リーズン

 「人を好きになるのに理由なんかいらない」

 と、ある人は言った。

 なら、その逆はアリなんだろうか。それもアリかもしれない。

 つまるところ、同じ事なのだ。

 ただ単に、前者は「好きすぎてまとまらない」から

 後者は「嫌いすぎてまとまらない」から

 言葉にすることができないから、理論で説明できないから

 とりあえず、そういってまとめてみる。そのほうがかっこいいから。

 もしかしたら、言葉で説明できるくらいの想いなら・・・

 そこまで本気じゃないのかもしれない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ムーン・チェイサー07

夜深き中 凍てつく大気

あなたは月を見上げ 私に微笑む

浮かぶその向こう 連れて行ってください

目指す天空の彼方 

掴める筈はないのに あなたは私の手を離さず

駆け出されるのですね

止める事は もうできないのでしょう

 

追いかけるその下に降りそそぐ 光

その光よ どうか消えないでください

儚い泡沫のようであろうとも私達にとっては

晶なる灯火

 

あなたはは諦めずに追い続けるのでしょう

そのためにあなたが剣を手にされるのならば

私も銃を手に あなたと共に追い続けましょう

ああ どうかその光が幻でなきように

我らを導くための光であるように

我らを欺くための光でなきように

伸ばしたその手に 

いつか

どうぞ 祝福の詞を

| | コメント (0) | トラックバック (0)

月を刻む貝時計

 広く大きな沙漠の波の

 ゆらめきの中 ぷぅかりと

 漂う姿は月に似て

 纏いしその殻の中には

 月から預かった時計を

 大事に大事に持っている

 今日もまた

 広くて大きな沙漠のどこかで

 彼方に浮かぶ 月を夢見る

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『批評家の自分がいる』

 一生つきあっていかなきゃならない体質 とか

 一生手放せない脳のイレギュラー・スペック とか

 一番好きなものを挙げられなければ

 一番嫌いなものも挙げられない

 一度だけ言われて 忘れられない言葉に縛られ

 一度だって自分の思いに誠実であったことはない

 人を尊敬していても

 人をバカにしているように見える(らしい)

 人の良いところは知っていても

 人の前では決して口にしない

 人を嫌いになれないくせに

 人を好きにもなれない

 矛盾だらけ 心も頭も混沌の中

 でも 決めている

 落ちているのは一人

 だから這い上がるのも一人で

 でも それは辛いから 

 最後の一手は借りていい?

 

 

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ハインリッヒの法則

 一つの幸せを成立させるためには、多くの犠牲が伴う

 だれかの不幸も

 だれかの幸せ

 甘い 甘ぁい

 依存性のきわめて高い、毒を含んだ蜜の味

 それを啜るだれかのその表情、その仕草

 醜悪ね

 「生きているだけで、存在だけで十分幸せ」だという彼女も

 「あれもしたいこれもしたいアレも欲しいコレも欲しい」というあの男も

 等しく美しく、醜いモノなのでしょう

 「あたしは今、幸せです」 

 だとしたら

 あたしは一体何人の他人を不幸に陥れているのかしらね

| | コメント (0) | トラックバック (0)

罪人の鳥籠

 「君のため」と言えば軽くなるから

 大丈夫 気にしないで

 間違ってるって、分かっていたでしょう?

 どうか心配しないで

 鉄格子の向こうに君がいる

 君は少し方法を違えただけ

 どうか泣かないで

 衆人環視の、その中心で僕は

 歌おう

 誇り高く

 踊ろう

 負った者に相応しい舞踊を

 不思議だね

 偽善にまみれた歌も

 独善に呑込まれた虚しい言葉も

 この檻の中では皆同じにしか感じない

 

 どうか罪を解かないで

 ぼくはここにいるよ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

あなたに捕えられた日

 鏡に映ったアタシ。

 いつもよりお洒落して、

 髪には大人びた簪を挿す。

 まとめ損ねた後れ毛が気になるけど、

 唇には紅を差すのを忘れない。

 緊張を隠して、いつものようにあなたの名前を呼ぶ。

 その声に読んでいた本を閉じ、あなたは顔を上げた。

 「どうしたの?」

 いつもどおりのやさしい声。

 「アタシの名をあなたに」

 その言葉を聞いたあなたは、

 「大切なものを受け止めるのだから」

 と、姿勢を正し、深呼吸をして瞳を閉じた。

 アタシは胸の高鳴りを飲み込み、その耳に唇を近寄せた。

 「   」

 ゆっくりと瞳を開くと、いつもより落ち着いた静かな笑顔が向けられた。

 「ありがとう」

 こちらこそ。

 あなたに捕らえられるなら、アタシは何だってできそうな気がする。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

陽の光はぼくには眩しすぎるんだ

 曝される 不安

 欺かれる 期待

 通り過ぎることを許さない 直向さ

 「さあ!私を受け止めて」

 正義は時として 暴力

 眩暈によろめくより

 銀の銃弾を受けての昏倒にも似て

 苛烈を極めるも 慈愛の心を持っている

 でも

 「ぼくには すこし まぶしすぎる」

| | コメント (0) | トラックバック (0)